飛行機の乗り方

パラダイス山元の飛行機の乗り方新古書店の「100円+税」棚で見つけた、「パラダイス山元の飛行機の乗り方」(ダイヤモンド・ビッグ社、2013年9月)。1日11回搭乗の「ミリオン・マイラー」が教えるヒコーキのあれこれ、というキャッチコピーのとおり、修行僧ともいわれるマイラーの荒行の日々が記されている*1
著者は、鉄道ファンであり、熱心な時刻表マニアだったという。飛行機に転向したきっかけは、

1日で、羽田発、羽田着の最長一筆書きルートは?
1日で、「羽田−札幌」を、何往復できるか?
1日で最大何区間乗ることができるか?
など、宮脇俊三・著「時刻表2万キロ」がきっかけで、鉄道ファンならだれでもあたりまえに思いつくようなことを、なぜ飛行機でやってはいけないのか。誰もやってはいけないなどとは言ってないようなので、ならば自分がやってみようということになりました。

ということのようだ。
1日11回搭乗のルートは、羽田−伊丹−高知−伊丹−福岡−五島福江−福岡−対馬−福岡−羽田−千歳−羽田で、「タッチ」を繰り返している。

目的地に着いたら、乗ってきた飛行機、または隣のスポットで出発地に向かおうとしている飛行機に乗り継いで、スグに出発地へ戻ってくるというのがタッチです。国内線の場合、滞在時間は長くて1時間以内、それ以上だと私的には「ステイ」にカテゴライスされてしまいますので、長居をしないよう常に注意しています。

乗りつぶしのため、盲腸線の終着駅で同じ列車で折り返す(我々の仲間は、キックターンといっていた)のと同じではないか。

そうまでして乗りたいのか?という疑問には、鉄道ファンでいうところの「乗り鉄」があるじゃないかと、一応主張しておきましょう。「乗り鉄」があるなら「乗り飛行機」があってもおかしくないじゃないかと思ってしまうのですが、語感がしっくりこないことで、趣味の領域として定着しずらい状況ではないかとも思ってしまいます。

流氷はオホーツク紋別行きの飛行機の窓から見るが一番美しい、と著者はいう。晴天の日限定という条件が付くが、飛行機からの眺めは乗り鉄が楽しむ車窓の風景に勝るとも劣らない。冬の羽田・富山便の窓から見る、富士山、日本アルプスの雪稜は素晴らしく、おそらくトンネルばかりの北陸新幹線の車窓など比較にならないだろう。
それに加え、飛行機にはマイレージサービスがある。東京・大阪間を週1回以上往復する乗客は多いだろうが、マイレージをためて特典乗車券をもらえるわけではない。たとえグランクラスの乗客であっても、出発前にラウンジで生ビールを一杯というわけにはいかない。さらに、著者が「ファーストクラスのチーフパーサーは一流旅館の名女将」という、JRにはまねのできないキャビンアテンダントのサービス。
「乗り飛行機」は「乗り鉄」に比べコストがかかるのが欠点だが、100万円以上出して「ななつ星」に乗るよりは良いかもしれない。12万マイル貯めれば、200万円以上するロンドンやニューヨーク往復のファーストクラスの特典航空券がもらえるのだから*2

*1:巻末には、2008年7月1日から09年7月24日まで1,022回の搭乗記録を掲載

*2:特典枠があるので、いつでも予約が取れるというわけではないが