大阪市営地下鉄の運賃値下げ

大阪市交通局は25日、地下鉄事業とバス事業の民営化基本方針(素案)を発表した。地下鉄事業は2015年度当初から市100%出資の株式会社に移行し、将来株式上場が可能な企業体を目指す。バス事業は「事業性のある路線」62系統と採算の確保が困難な「地域サービス系路線」70系統とに分類し、事業性のある路線は59系統に集約し民間に譲渡する。地域サービス系70路線は、26系統を廃止、44系統を29系統に再編し、市の財政支援により民間会社に運行させる。
注目すべきは、地下鉄運賃の値下げ案が示されたことである。

現行消費税転嫁改定案
キロ14/0415/1014/0415/10
1〜1.5200200210190180
〜3200200210190190
2〜4.5230240240240220
〜7230240240240240
3〜13270280280280280
4〜19310320330320330
520〜360370380370380
2014年4月の消費税率8%への引き上げ時に、1区(3キロまでの初乗り運賃)を10円下げて190円に、税率が10%となる15年10月にはうち1.5キロ以内の区間を180円に値下げする。2区は2014年4月に消費税分を転嫁して10円値上げし、240円とするが、15年10月に4.5キロまでの区間は220円に20円値下げする。4.5キロまで1.5キロ刻みの運賃は、他社局には例がない。一方、13キロ超の区間は消費税分の10〜20円の値上げとなる。
市では利用客の多い短距離区間において値下げするとしているが、2011年度交通調査によると4.5キロまでの利用客の比率は48.2%(1120千人/2324千人)になる。
鉄道事業者の運賃比較の10地下鉄事業者の順位で、大阪市営地下鉄は、東京メトロ都営地下鉄横浜市営に続き第4位である。横浜市との直接対決(1-29キロ)では勝っているが、横浜市の30キロ以上の他事業者に対する得点が高く、その後塵を拝している。利用客の数でキロ帯をウェートづけすればこの矛盾は改称するだろうが、全事業者について大阪市と同様のキロ別利用者のデータを得る必要がある。また、たとえ得られたとしても、その調整はかなり複雑になる。
他事業者が消費税増税をどの程度運賃に転嫁するか現時点では不明だが、大阪市の順位は上昇すると思われる。