コンパートメント券・料金

国鉄から引き継いだJRの旅規は、第2編「旅客営業」の第2章以下で、乗車券類の発売、旅客運賃・料金、乗車券類の効力、乗車券類の様式、乗車券類の改札・引渡しと、乗車の流れに沿って章別に規定している*1。したがって、まず券種ごとの発売条件が規定され、次にその価格が示される。その中で乗車整理料金・ホームライナー料金は、第3章で特殊料金として定められているだけであり、乗車整理券ホームライナー券という用語も、その発売条件の規定もない。しかし、きっぷに関するご案内では、乗車整理券ライナー券と記載されている。これに対し、旅規で一人前に取扱われているコンパートメント券・料金は、いまや適用される個室はなく、「きっぷに関するご案内」にも出ていない。以前から気になっていたコンパートメント券・料金について調べてみた。
座席車の個室が旅規に規定されたのは、1985年10月1日のダイヤ改正100系新幹線に特別車両の個室が登場したときである。普通車両に個室が設置されたのは、90年6月23日の東北新幹線200系H編成からであるが、個室料金は収受していない。
コンパートメント券・料金は1991年7月27日施行の旅規改定で登場した。同日付のダイヤ改正JR北海道に2階建てのキサロハ182形を連結した「スーパーとかち」の運行が開始されている。1階の2人用普通車個室がコンパートメント個室として取扱われ、旅規に規定されたものと思われる。なお、当時のJTB時刻表には、「普通個室連結」と記されていて、コンパートメント個室という表記はない。
当時のコンパートメント料金は、特別車両料金と同様、営業キロ地帯別に定められていた。

キロ地帯 <100キロ <200キロ <400キロ <600キロ <800キロ >801キロ
コンパートメント料金 1,100円 1,600円 2,000円 2,500円 3,000円 3,500円
特別車両料金(A) 1,220円 2,620円 3,920円 5,050円 6,180円 7,300円

特別車両料金(A)のほぼ半額で、特別車両と普通車両の中間的存在だったようだ。そのため、コンパートメント券・料金を旅規に新設し、特急料金に加えて収受したものらしい。コンパートメント料金は、その後95年7月20日の改定でほぼ半額に値下げされ(96年4月1日消費税増税分を値上げ)、97年10月1日の改定で座席指定料金と同じ一律510円となった。キサロハ182形は2001年で運転を終了し、それ以外にコンパートメント料金が適用された車両はなかったようだ。この間、JTB時刻表のピンクのページに、コンパートメント料金が記載されたことはなく、最初から最後まで影の薄い存在だった。

*1:1958年の改定で現行体系になる以前は、乗車券・運賃、急行券・急行料金といった、券種別の体系だった