続・神戸新交通の旅規

昨日の記事に書いたように、神戸新交通の運賃は、三角表で駅間別に定められている。別表に記載されている対キロ運賃表や環状線部各駅のキロ程に関する注記は、三角表運賃の計算根拠という位置づけだろう。また、一般的な運賃計算の原則(実際に乗車する発着区間及び経路の順序による)や、その特例としての環状線部分の運賃計算またはう回乗車は、旅規には規定されていない。
旅規を読むまでは、「環状部は一方向の循環運転であり、最短距離による特定運賃・う回乗車可の取扱いにはそぐわないから、このような制度にしたのだろう」と考えていた(1月13日の記事参照)。しかし、環状線部分の運賃計算及びう回乗車の規定が存在しないため、次のような疑問が生じる。
神戸空港から三宮まで、市民広場で環状運転の列車に乗り換え、南公園経由のう回乗車をすることができるのだろうか。途中下車が認められていないので、一般的にはう回乗車する意味はないが、乗り潰し等の本源的需要が存在する。片道乗車券の発売要件は、第21条に

旅客が普通旅客運賃計算経路の連続した区間を片道1回乗車(以下「片道乗車」という。)する場合に発売する。ただし、その経路が折返しとなる場合を除く。

と規定されている。南公園経由のう回ルートは、運賃計算経路が連続し、折返していないので片道乗車券が発売されるはずである。旅規には、実乗車経路による運賃計算の原則も、最短距離による運賃計算の特例も規定されていないから、う回ルートの運賃は第41条にしたがって、別表2のキロ程(最短距離)を用いて計算するという解釈でよいのだろうか*1
第21条のただし書きには、折返しだけで、環状線一周についての制限規定がない*2。したがって、三宮からラケット型に環状線を一周して三宮に戻るルートに、片道乗車券は発売されるのだろうかという疑問も生じる。このルートは、240円の均一運賃の時代に本源的需要で乗車したことがある。三宮駅の自動改札機に投入し改札を受けた乗車券で、一周した後自動改札機から出場できた。現在このルートで乗車したときの運賃はどうなるのだろうか。なお、Feel Fine!に、環状線一周の乗車は1区200円で可能という報告がある。
本日、パスネットの不思議の脚注2、神戸新交通の項を旅規別表の注記に基づき改定した。また、近鉄の項に「旅客が・・・特に計算経路を指定する場合を除いて短距離となる経路のキロ程により計算する」という環状部の運賃計算の規定(第56条の2)を追記した。最短キロによる運賃計算が強制されていないので、取扱い区分は2のままにしているが、途中下車不可、有効期間1日の乗車券で旅客が長距離の経路を指定するのはどんな場合だろうか。

*1:三宮・神戸空港間の定期乗車券の場合は、昨日紹介した別表5により、南公園、中埠頭、北埠頭駅で乗降できるから、う回乗車が可能である

*2:JRの規定は、周知のように、「普通旅客運賃計算経路の連続した区間を片道1回乗車(以下「片道乗車」という。)する場合に発売する。ただし、第68条第4項の規定により鉄道の営業キロ擬制キロ又は運賃計算キロを打ち切つて計算する場合は、当該打切りとなる駅までの区間のものに限り発売する。」である。近鉄の旅規は、「ただし、その経路が折返しとなる場合又は環状線を1周し、更にこれをこえる場合を除く。」(第27条)と96年1月改定以前のJRの旅規と同じ規定である。なお、東京メトロの旅規も神戸新交通と同様、「折返し」だけであるが、環状線一周を越える片道乗車券が発売されることはないだろう。