日本鉄道旅行歴史地図帳

大ヒットした新潮社の「日本鉄道旅行地図帳」の後継シリーズ、「日本鉄道旅行歴史地図帳」が5月スタートした。前シリーズは路線及び駅の変遷データが充実していたが、新シリーズは「”地図になった”列車の過去と現在」というキャッチフレーズで、列車の変遷データの資料的価値が高い。

ところで、デスクトップ鉄のデータルームのネットからシャトルは、鉄道旅客輸送の質的変化をネット型輸送からシャトル型輸送への変化として捉えたものだが、ネット型列車設定の例として、分割併結を繰り返す列車を取り上げている。図4に最盛期の1968年10月1日(よん・さん・とう)の急行「みちのく」の系統図を示し、次のように解説している。


「みちのく」は、小牛田で鳴子行を分割し二階建てになり、花巻で宮古行を分割する。宮古行には盛岡発の「はやちね2」が釜石まで併結される。一方東北線を北上する弘前行は、盛岡で秋田行の急行「陸中」を併結し、再び二階建てになる。好摩から花輪線に入り、大館で「陸中」を分割し、単独で弘前に到着する。秋田行「陸中」には青森発の「むつ」が併結される。「みちのく」にからむ各列車の分割・併結も図に見るように複雑である。

日本鉄道旅行歴史地図帳 2号―全線全駅全優等列車 東北 (新潮「旅」ムック)新シリーズ第2号「東北」は表紙に「複雑怪奇!東北の多層建て列車」とあり、多層建て列車が大きなトピックとなっている。24ページには、「ネットからシャトルへ」とまったく同じ68年10月の「みちのく」の分割併合系統図が掲載されており、その解説も次の通りよく似ている。

上野発の「みちのく」は、鳴子・宮古弘前というなんの関連性もない3つの行き先をもつ列車。「陸中」は仙台を3階建てで出発、花巻から単独で三陸海岸をまわって、盛岡で「みちのく」と合流。花輪線で大館に出ると、「みちのく」は単独で弘前に向かうが、「陸中」は青森から来た「むつ」と仲良く秋田に向かう。

「ネットからシャトルへ」は、2003年6月のリリース時から「みちのく」について書いているが、このような概念図や解説には、著作権は主張できないものだろか。