続・大正時代の環状線の運賃計算

昨日に続き、環状線運賃計算の3/4ルールについて。もうひとつ第1項の例を。
例2 木津−京都−綾部−福知山−神崎−大阪−京橋−長尾

二つの環状線があるが、Bは乗車距離が環状線距離の3/4を超えないので、Aだけに3/4ルールを適用する*1

(1)乗車哩168.0
(2)A環状線154.4京都−綾部−福知山−神崎−大阪−京都
(3)同3/4116.0 (2)x3/4
(4)環状線乗車哩127.6京都−綾部−福知山−神崎−大阪
(5)打切り哩11.6 (4)-(3)
(6)通算哩156.4 (1)-(5)
運賃:
打切り分(5)12.00円30銭
通算分(6)157.03円27銭
3円57銭
次は、第2項

2 環状線の一部が他の環状線の一部となり二箇以上連続する場合に於いて旅客が其の外郭の一部と共通部分とを通し各箇の環状線に対し四分の三以上に亙り迂回乗車するときは、共通部分を大なるものに属せしめ其の大なる環状線に直接連続せるものは環状線に非ざるものと看做す。

の例。
例3 和田山−姫路−神崎−福知山−綾部−京都−大阪−京橋−木津−桃山

A、B、Cの3個の環状線がある。共通部分(神崎−福知山、京都−大阪)を通してA、B、C「各箇の環状線に対し四分の三以上に亙り」迂回乗車する。AとBとでは、Aが「大なる環状線」であるので、Bは「環状線に非ざるものと看做」し、A及びAと直接連続していないCに3/4ルールを適用する*2

(1)乗車哩288.2
(2)A環状線176.7和田山−姫路−神崎−福知山−和田山
(3)B環状線154.4神崎−福知山−綾部−京都−大阪−神崎
(4)C環状線78.9京都−大阪−京橋−木津−京都
(5) A環状線哩3/4133.0 (2)x3/4
(6)同上乗車哩157.7和田山−姫路−神崎−福知山
(7)同上打切り哩24.7 (6)-(5)
(8) C環状線哩3/460.0 (4)x3/4
(9)同上乗車哩74.5京都−大阪−京橋−木津−桃山
(10)同上打切り哩14.5 (9)-(8)
(11)通算哩249.0 (1)-(7)-(10)
運賃:
打切り分1(7)25.00円63銭
打切り分2(10)15/00円38銭
通算分(11)249.04円69銭
5円70銭
第3項の実例と感想は別途。

*1:質疑応答には、備考として次の通り記載されている。「本例の如くニ箇以上連続せるものはA又はBの一環状線に対し四分の三以上となるや否を計算しA又はBが孰れも四分の三に達せざるときはA、Bの連続せる環状線に対し計算しA、Bの連続せるものが尚四分の三に達せざるときに限り通算となる」

*2:備考に「もしBが最大であるときは、Bだけに3/4ルールを適用し、これに直接連続するA及びCには適用しない」旨記載されている