海外の鉄道旅客運送約款

5−6年前に海外の鉄道旅客運送約款をインターネットで検索したことがある。そのときはまったく見つけられなかったが、あらためてトライしたらヨーロッパを中心に、かなりのサイトが検索できた。そのリストを旅規ポータルの旅規リンク集に掲載した。
個別運送契約に適用される条件(Terms and Conditions)という約款の趣旨は日本の旅客営業規則と同じだが、規定している範囲は国によってかなり違いがある。乗車券の購入所持や運行不能時の措置等、旅客と鉄道事業者との基本的な権利義務関係を定めたものが主で、JR各社の旅規にある乗車券の発売要件や運賃計算のルールなど、旅規ファンの興味を引く規定が書かれているものは少ない。
各約款からは、片道乗車券は2地点間の1回の乗車のために発売するという共通した概念が見受けられる。一筆書きならどんなう回ルートや環状線一周ルートでも発売する日本の制度はかなり特殊である。したがって、問題はその同一運賃の乗車券でどの経路がとれるかということになる。例えば、英国のNational Railway Networkの標準約款13条(a)項に、乗車できる経路として、

You may travel between the stations shown on the ticket you hold in:
(i) a through train;
(ii) trains which take the shortest route which can be used by scheduled passenger services; or
(iii) trains which take the routes shown in the National Routeing Guide (details as to how you can obtain this information will be available when you buy your ticket).

と書かれており、直通列車が運転されているルートまたは最短ルートが原則のようだ。これは、他の約款でもほぼ同じである。(iii)の選択可能な他のルートが記載されているというNational Routeing Guideに興味あるが、ウェブには掲載されていない。なお16条に、途中下車は、London Transport(地下鉄)とDockland Light Railwayを除き、選択可能なルート中であれば可能と規定されている。
ベルギー国鉄の約款が最も詳しく、日本の旅規並みの量がある。残念ながらフランス語版とオランダ語版しかダウンロードできないが、対キロ運賃表(別表)なども掲載されている。英語版の運賃・乗車券の情報も充実していて、約款の主要な条項はこちらにも記載されているようだ。ベルギー国鉄では途中下車は禁じられていて、途中下車したり、う回ルートを取りたければ、途中下車駅を明記した"Via Ticket"を購入せよと書かれている。

The price of the "Via" ticket offering a 50% reduction is the price of the journey from the departure station to the "Via" station, plus the price of the journey from the "Via" station to the destination station.

の50%割引の意味がよくわからず、フランス語約款から該当箇所を検索し、英語にウェブ翻訳してみたが、運賃は2区間の運賃を単純に合算するだけのようで、運賃割引の規定は見つけられなかった。
環状線一周の乗車券はインド国鉄の乗車券案内ページにCircular Journey Ticketsを見つけた。これは、起点と終点が同一駅の巡礼や観光目的の周遊旅行に、最大8区間まで発売され、区間ごとに購入するよりも安いとあるが、運賃や経路等の詳細情報は駅で入手できるとしか書かれていない。