JR東日本の「ふるさと行きの乗車券」

JR東日本が年末年始に発売する「ふるさと行きの乗車券」、東京都区内及び大宮〜川口・戸田公園間から7つのエリア(秋田・青森、岩手・三陸、宮城・山形、郡山・磐越、新潟・庄内、十日町浦佐、長野)内の駅までの、各エリア均一運賃の往復割引乗車券である。JR東、帰省切符を5割引き(読売)年末年始の帰省、最大5割安 JR東、大型の割引切符(日経)とマスメディアに取り上げられている。
この時期、青春18切符が使えるので、普通列車で旅行するなら、価格も高く、途中下車が出来ない「ふるさと行きの乗車券」を利用しないだろうから、特急で直行する旅客を対象としているのだろう。そうすると、JR東日本のプレスリリースで、東京・青森間が46%割引などと宣伝しているのは、誇大広告である。東京・青森間の繁忙期の特急料金(新幹線乗継、指定席)を含めると通常の運賃・料金往復31,000円が23,800円になるだけだから、23%割引に過ぎない。
JR東日本の「おトクなきっぷ」の紹介ページに掲載されている、各エリアの地図や「各着地エリアまで(から)の経路」を眺めていて、1998年3月まで発売されていたミニ周遊券を思い出した*1。そのためだろうか、同ページには「エリア内は乗り降り自由ではありません」と繰り返して注記されている。帰省客は、実家だけでなく、近隣の親戚や友人を訪ねるのだろうから、いっそのことエリア内の普通列車を乗り放題にしてもよかったのではないかと思う。
各エリアごとの運賃は、整合性をとって設定されているようだ。エリアの最遠駅から遠方のエリアの最近駅までの運賃が逆転しないかと粗探しをしてみたが、それはなかった。宮城・山形エリア(都区内から8,400円)の石越から岩手・三陸エリア(9,200円)の一ノ関までの往復普通運賃は800円で、「ふるさと行きの乗車券」の運賃差額と同額である。外に、八戸(岩手・三陸、9,200円)から三沢(秋田・青森、10,000円)の差額も往復運賃と同額だったが、逆転区間は発見できなかった。

*1:各エリアはかつてのミニ周遊券の自由周遊区間よりかなり広く設定されている。たとえば、宮城・山形エリアは、「仙台・松島」と「山形・蔵王」の二つのミニ周遊券のエリアを足したものよりも広い