上級変更の収受額

先日紹介した宇高連絡船の上級変更券の収受額は、94円と中途半端な金額であった。これは、当時の旅規第248条第2項第1号ハ

ハ 原乗車券が割引を適用したもので、その割引が1等に適用がないときは、上級変更区間に対する無割引の1等普通旅客運賃から同区間に対する2等の割引率によって計算した割引の2等普通旅客運賃(原乗車券が第28条の規定による学生割引普通乗車券の場合は、上級変更区間に対して第92条第1号及び同条第2号の規定を適用した割引又は無割引の2等普通旅客運賃)を差し引いた額

にしたがって、第92条第2号の航路及び自動車線の割引率(2割引)を適用して、次の通り計算されたものである。
 140 (宇高連絡船1等運賃) - 70 (同2等運賃) x (1 - 0.2) + 10 (手数料)
ところで、上級変更区間が鉄道区間の場合はどのように計算したのだろうか。第92条第1号の鉄道区間の割引率は「片道ごとにその区間の普通旅客運賃から100キロメートル分の普通旅客運賃を差し引いた額について5割引」であった。原乗車券のキロ程によって割引率が異なるのであるから、航路区間のように単純な計算はできない。
第248条第2項第1号ハの「第92条第1号及び同条第2号の規定を適用した割引又は無割引の」とは、上級変更区間が100キロまでのときは無割引運賃との差額、100キロを超える区間については割引運賃との差額と解釈するのだろう。上級変更が1回の場合はその区間のキロ程に対する普通運賃と学割運賃との差額になるから、簡単に計算できる。2区間以上の上級変更の取扱を同時に行う場合は、その区間のキロ程を通算することになっていたので、この計算も簡単である。
しかし、上級変更の取扱を複数回行うときはどうしたのだろう。1回目の上級変更区間が100キロ未満のときは、2回目以降の差額の計算に1回目の未使用の無割引キロ程を繰り越せたのだろうか。その場合は、簡単な計算ではなかっただろうと思う。