乗車券類の収集を通じて旅規鉄になったという方が多いらしい。乗車券類の画像を示し、旅規の関連条文を解説しているブログがけっこうある。筆者も幼少の頃のコレクションを若干保有しているが、旅規に興味を持ったのは、古書店で見つけて購入した東大旅行研究会の最長片道切符旅行記や長澤規矩也「旅の入れぢえ」を読んだのがきっかけである。
等級制からモノクラス制へを読まれた工房Nishi氏から、昭和30−50年代の乗車券類の画像ファイルの提供を受け、筆者のコレクションも一部加えて掲載した。旅客制度の変遷をたどる上で、貴重なものがある。その中の1枚をここで紹介する。
(c) 2009 工房Nishi
1965年8月1日の宇高連絡船の上級変更券である。「学」の影文字が示すとおり、原券は2等の学割乗車券。割引は2等乗車区間にしか適用されなかったが、当時は学割の異級乗車券が発売され、また学割乗車券から1等に上級変更できたのである。常備券があったということは、連絡船の1等に上級変更した学割旅客が多かったのだろう。なお、旅規第28条に学割は2等に限ると規定されたのは、2ヶ月後の1965年10月1日改定においてであり、それ以降学割異級乗車券は発売されず、学割乗車券からの上級変更もできなくなった。