モノクラス制40年

40年前の1969年5月10日、国鉄運賃・料金の等級制が廃止され、モノクラス制となった。旧1等車・船室は特別車両・船室として運賃のほかに特別車両・船室料金を収受し、また、寝台は旧1等寝台がA寝台に、2等寝台がB寝台となった。1872年の鉄道開業から現在に至る旅客営業制度の最大の変更である。
日本国有鉄道百年史」(第13巻p104)は、モノクラス制の採用について、

1等車と2等車の設備格差の縮小、利用実態の変化等を考慮して、1等運賃・料金を廃止し、従来の2等運賃・料金による1本立ての制度に改め、等級呼称を廃止することとした。

と書いている。グリーン料金が大刻みのキロ地帯別に定められているため、単純な比較はできないが、次の表に見るように、同日に実施された運賃・料金の改定によって、グリーン車・A寝台利用時の運賃・料金が等級制時代に比べ値下げされ、等級間格差が縮小した。






等級制モノクラス制
2等1等格差普・B寝G・A寝格差
東京・藤沢間普通列車運賃
G料金
200
-
200
370
-
370


1.85
240
-
240
240
200
440


1.83
東京・新大阪間「ひかり」運賃
急行料金
G料金
1,730
1,600
-
3,330
3,180
3,520
-
6,700



2.01
2,230
1,900
-
4,130
2,230
1,900
2,000
6,130



1.48
東京・博多間「あさかぜ」
寝台は下段
運賃
急行料金
寝台料金
2,850
1,000
1,000
4,850
5,230
2,200
1,980
9,410



1.94
3,460
1,200
1,200
5,860
3,460
1,200
4,200
8,860



1.51

等級制を残して1・2等運賃の格差を縮小することもできた。設備格差に対する対価をグリーン料金として徴収したのは、きわめて日本的である。普通列車の一般車両自由席に乗車するための対価を運賃として徴収し、速達性・快適性・座席の確保などの付加価値を別に料金として徴収する日本のシステムは世界的には少数派である。海外では等級性を残しているだけではなく、急行料金等も運賃に含まれ、一本化されている例が多い。

ところで、2007年9月15日の記事に書いたように、当時のグリーン料金は、単に運賃を料金に変更しただけで、限りなく1等運賃に近かった。複数の列車・連絡船にまたがる乗車は、中抜けであっても1枚のグリーン券が発売された。有効期間、選択乗車、継続乗車船等の乗車券の効力規定がグリーン券にも適用された。これが実質的な料金制度として、グリーン券は乗車船する列車等ごとに発売するという原則に改まったのは、1974年10月1日施行の旅規改定による。