大阪環状線開業に伴う旅規改訂

1961年4月22日の大阪環状線開業に関する国鉄公示を紹介したが、2日後の4月24日には、これに伴う旅客及び荷物営業規則の改正が公示された。JR旅客制度特例の変遷に記載している運賃計算・乗車券類の効力の特例の改訂が行われた。

日本国有鉄道公示第205号
 旅客及び荷物営業規則(昭和33年9月日本国有鉄道 公示第325号)の一部を次のように改正する。
  昭和36年4月24日
  日本国有鉄道総裁 十河 信二
 第70条中図の右に次のように加える。
 (図省略。大阪環状線内が70条特定区間に追加)
 第86条第2号の図を次のように改める。
 (図省略。大阪市内駅の地図変更)
 第91条中大阪附近の図を次のように改める。
 (図省略)
 第156条第2号中「大阪附近にあつては、東海道本線中京都・神戸間、西成線、山陽本線中神戸・明石間及び明石・西明石間、片町線中長尾・片町間、城東線並びに阪和線」を「大阪附近にあつては、東海道本線中京都・神戸間、大阪環状線桜島線山陽本線中神戸・明石間及び明石・西明石間、片町線中長尾・片町間並びに阪和線」に改める。
 第157条第14号中「大阪以遠(塚本又は福島方面)の各駅」を「大阪以遠(塚本方面)の各駅、安治川口駅又は桜島駅」に、「城東線」を「大阪環状線」に改め、図を次のように改める。
 (図省略)
 同条第16号中図を次のように改める。
 (図省略)
 第226条第1号第3種様式の表中「(西)福島」を「(環)福島」に、同様式の裏の注意事項中「城東線、西成線」を「大阪環状線桜島線」に、同様式の備考第1号中ニをホとし、ハの次に次のように加える。
ニ 駅名欄中の駅名を削除し、又は追加する。
 第370条第2項第1号ハ中「城東線」を「大阪環状線」に改める。
 別表第1号の第1号中大阪附近の部を次のように改める。
 (表省略)

70条特定区間大阪環状線内が追加され、86条の大阪市内駅が変更となった。156条は電車特定区間(現在の大都市近郊区間に相当)、157条は選択乗車区間の変更である。第157条第16号は、「平野以遠(加美方面)の各駅と、大阪以遠(塚本又は東淀川方面)の各駅との相互間(天王寺・大阪間、天王寺・湊町間)」の地図の変更である。
なお、旅規91条は、異級の運賃計算に関する例外規定である。当時は等級制を採用していたため、一部の区間を異なった等級の車両に乗車する場合、全区間の下等級の運賃に上等級に乗車する区間(複数区間ある場合は前後の距離を通算)の運賃との差額を加算して、運賃を計算した。91条はその例外規定で、東京と大阪の長距離列車ターミナル間を結ぶ区間(東京は70条特定区間秋葉原・両国間を追加したもの、大阪は城東線大阪・天王寺間)を通過する場合は、旅客から異級乗車の請求を特にしない限り、上等級の車両を連結した列車があるものとして運賃を計算するという規定であった。
別表第1号は、同年4月6日の旅規改訂で、東京山手線内と大阪城東線の擬制キロ(営業キロ x 0.6)が廃止されたことに伴い、緩和措置として制定された割引運賃を適用する特定区間である。その全区間は、JRの運賃計算ルールは複雑すぎるの脚注6に掲載している。