鉄道雑学本

一定の需要が見込まれるらしく、鉄道ファンを対象にした鉄道書が次々と出版されている。もちろん資料として貴重な本もあるが、多くの鉄道雑学本が粗製濫造品である。この手の雑学本がまた出版された。「ライトな鉄道ファンからディープな鉄ちゃんまで楽しめる!」という売り込みの『知ってて損はない! おもしろ鉄道雑学94』である。
知ってて損はない!おもしろ鉄道雑学94―ライトな鉄道ファンからディープな鉄ちゃんまで楽しめる! (パンドラ新書)

宮脇俊三氏が国鉄完乗への旅を記した名著『時刻表2万キロ』を『日本縦断2万3000キロ』と誤記している(56ページ)のは、いくらなんでも、ひどすぎないか。

大都市近郊の大回り乗車について(58ページ)、「最短距離で運賃を計算する」と書かれているのは見逃すとしても(実際は最短距離のきっぷで迂回乗車してもよい)、「首都圏」近郊区間でこの制度を「最大限に活用した」ルートが地図に示されているが、これは東京近郊区間の130円最長大回りルートではない。

少しウェブを検索すれば、130円最長ルート(上野−西日暮里着776.1㎞)を乗車した旅行記が出ているのに。またこのルートが最長であることを検証したページもある。