線路名称と事業基本計画

全国の鉄軌道路線リストの凡例に書いている通り、JRの路線リストは国鉄から引き継いだ、部線体系による「線路名称」と、JR発足時に各社が提出し、鉄道事業のみなし免許の対象となった「事業基本計画」に記載されたリストの2種類がある。基本計画は、部線体系によらず、本線呼称をしない五十音順のリストで、路線の起終点は、東京駅に近い方が起点となっている。

鉄道要覧」は、基本計画に準拠しているが、路線の記載順序は五十音順ではなく、新規開業路線を除き線路名称の部線順になっている。

今回リストの作成に当たり、2019年度版鉄道要覧をチェックしていたら、富良野線和歌山線の記載位置が線路名称と違っていることに気が付いた。線路名称では、富良野線根室線の支線で根室本線の次、和歌山線は関西線の支線で片町線阪和線の間であるが、要覧は、富良野線留萌線の次、根室線の前、和歌山線紀勢線の次に置いている。1991年版の要覧は、線路名称の順になっていた。バックナンバーをチェックしてみると、富良野線は1993年版から、和歌山線2004年版から変更になっていた。

富良野線の移動は意味が分からないが、和歌山線は関西線から紀勢線の部に移管したようにもみえる。しかし「データで見るJR西日本」の営業線区によると、和歌山線紀勢線の前(なぜか阪和線の次)である。この表はJR西日本の線路名称に基づいているのかもしれないが、本線表記をせず、東海道線ではなく、北陸線から始まり、起終点も線路名称と基本計画の記載が混在している*1

「全国の鉄軌道路線リスト」の改訂で、起終点及び経由駅名を線路名称基準に統一したが、各社の最新の線路名称が公開されていないので「停車場変遷大事典」(1998、JTB)の記載に従った。刊行当時のものであり、その後変更があったかもしれない。三島会社では、廃止・転換によって本線1線だけになってしまった部も多く、線路名称の部線体系の意味が薄れてきた。JR四国は、発足時に線路名称を基本計画に合致させ、本線の呼称をやめ、起終点もこれに倣った。

一方、Railways of Japanは、もともと本線表記をしていないので、要覧の起終点に統一し、経由駅名は基本計画に準拠した(これも「停車場変遷大事典」によった)。線路名称に追加または変更、削除した経由駅名があり、両者を比較できる。

追記(2月1日):線路名称上のJR東日本京葉線区間表記が間違っていた。正しくは、運行系統通りの東京~蘇我市川塩浜西船橋西船橋~南船橋で、「全国の鉄軌道路線リスト」を訂正した。Railways of Japanが準拠している要覧の「西船橋蘇我、 東京~南船橋西船橋~南船橋」は、1987年4月の事業基本計画「西船橋蘇我」に、その後1988年開業した「新木場~南船橋市川塩浜西船橋」を追加、さらに1990年延伸開業した「東京~新木場」を追加したためと思われる。

また、線路名称の京葉線の掲載順序は総武本線の次、外房線の前である。西船橋分岐(のちに東京分岐)だから、千葉分岐の外房線より先に来るのが正しい。富良野線和歌山線に加え、京葉線も要覧の掲載順序が線路名称順と異なっていた。

*1:北陸線は線路名称の直江津~金沢、津山線は基本計画の津山~岡山