電車特定区間361-380キロ帯の運賃

JRの運賃計算は複雑すぎるの2019年運賃・料金改定版への更新作業を進めている。旅規の規定による運賃計算をExcelでしてみたが、電車特定区間運賃表の361-380キロ帯の運賃が計算と合わない。

東京電車特定区間361-380キロ帯の車券運賃の税前運賃は、5,500円。

=round(15.3*290+12.85*(370-290),-2)=5,500 ----(1)

消費額(税前運賃に100 分の 10 を乗じ10 円未満のは数を円位において切り上げた額)は、550円。

=roundup(rounddown(5500*0.1,0),-1)=550----(2)

式(1)と式(2)を合算した税後運賃は6,050円となるが、運賃表では5,940円である*1

上記(1)式の300キロまでの税前運賃と300キロ超の運賃を個別に100円単位で四捨五入し、これを合算すると、税前運賃は5,400円になり、

=round(15.3*290,-2)+round(12.85*(370-290),-2)=5,400----(3)

これに消費税を加えた税後運賃は、運賃表どおりの5,940円になる。

しかし、式(3)の方法で321-340キロ帯の運賃を計算すると、税前運賃が4,900円で、

=round(15.3*290,-2)+round(12.85*(330-290),-2)=4,900----(4)

これに消費税を加えると、運賃表の5,500円ではなく、5,390円となる。

400キロまでの他のキロ帯は、式(1)の計算で運賃表と一致した。上記の計算法のどこが間違っているのだろうか。

追記(10月22日):コメントを受けて、電車特定区間361-380キロ帯の運賃を再計算したが、やはり運賃表とあわない。

=round(15.3*300+12.85*(370-300),-2)=5,500  

で税前運賃は、5,500円。これに消費税

=roundup(rounddown(5500*0.1,0),-1)=550

550円を加算すると、税後運賃は6,050円で、運賃表の5,940円にならない。(ご指摘のとおり、賃率は12.15でした。計算があいました。)

バスさんの質問は、意味がよくわからない。
JR九州は、100キロまで対キロ区間制運賃となっているが、100キロを超え300キロまでの区間は17.75円の賃率で計算している。例に挙げられた121-140キロの運賃は、

=round(round(17.75*130,-2)*1.1,-1)=2,530

となり、運賃表の金額と合致する。
JR北海道も、今回の改定で100キロまで対キロ区間制運賃を採用した。100キロ超300キロまでは、JR九州と同じ賃率計算だが、200キロまでの19.70円と300キロまでの16.20円の2地帯に区分したのが違い。第77条の2第1項第2号(JR北海道)と第77条の4第1項第2号(JR九州は、どちらも

発着区間営業キロを次の営業キロに従って区分し、各その営業キロに対する賃率により、第77条第1項並びに同条第2項第3号及び第4号の規定を適用して計算した額とする。

で変わらない。

JR北海道地方交通線の456-473キロ、911-946キロ、1,092-1,128キロの運賃は、旅規の規定どおり計算されている。例えば、456-473キロは

=round(round(14.1*(464-273)+17.8*91+21.6*182,-2)*1.1,-1)=9,020

で、運賃表と合致する。

第77条の6第1項第2号の「第77条第1項並びに同条第2項の規定」は、第77条の5第2項の「別表第2号イの4に定める営業キロ区間別に各その中央の営業キロのものを適用する」を北海道の地方交通線に適用するものであるから、確かに「前条第2項」だろう。

追記2(10月23日):バスさんの再コメントで質問の意味が分かった。第77条の4(JR九州の幹線運賃)第1項第2号の地帯別賃率表に「100 キロメートルを超え、300 キロメートル以下の営業キロ」と書かれているが、第77条の2(JR北海道の幹線運賃)第1項第2号は「100 キロメートルを超え」とは書かれていないことについてだった。

第77条の4が制定されたのは、三島会社の運賃改定があった1996年1月。第1項第2号の見出しは「営業キロが100 キロメートルを超える場合」なのだから、賃率表の第1地帯で、これを繰り返す必要はなかった。本州幹線や地方交通線も、10キロまでは運賃を特定する対キロ区間制であり、賃率で運賃計算する対キロ制は10キロ超からである。しかし、第77条第1項第1号の賃率表の第1地帯に「10キロメートルを超え、300 キロメートル以下の営業キロとは書かれていない。JR北海道の77条の2はこれに倣っている。たしかに、77条の4との整合性がとれていないことから、運賃計算方法が異なると誤解される余地がある。

昨日の追記で書いた、第77条の6第1項第2号の「第77条第1項並びに同条第2項の規定」は、「並びに」の使い方もおかしい。過去の旅規を調べてみると、冊子版旅規の最後の刊行となった、日本鉄道図書2011年版では、正しく「第77条第1項及び前条第2項の規定」となっていた。

第77条の6はその後改定されていないのに、いつのまにか「第77条第1項並びに同条第2項の規定」となっている。推測だが、2011年以降現在までのどこかで、旅規担当者が第77条の2(JR北海道の幹線運賃)第1項第1号の「発着区間営業キロを次の営業キロに従って区分し、各その営業キロに対する賃率により、第77条第1項並びに同条第2項第3号及び第4号の規定を適用して計算した額とする。」をコピペして、「第77条第1項並びに同条第2項」としてしまったのではないだろうか。

 

*1:消費税額を四捨五入で計算する大阪電車特定区間も、6,050円であるが、運賃表は5,940円