あしかがフラワーパーク駅

JR東日本高崎支社が、2018年4月1日両毛線富田・足利間にあしかがフラワーパーク駅を開業するとリリースした。駅所在地が小山起点32km0mと記載されているだけで、営業キロを設定するかどうか不明だが、当面の間運賃は富田駅営業キロにより計算する。2016年3月26日開業した小田栄駅川崎新町駅営業キロによるのと同じ特例。あしかがフラワーパーク富田駅相互間乗車にSuicaが使えず、乗車券を購入する必要があるのも小田栄駅と同じ。一方、小田栄駅と同日開業の石巻あゆみ野駅、2017年4月1日開業の郡山富田駅にはこのような特例はない。
小田栄駅の特例の理由として、「需要動向把握と適切な駅整備を図ることを目的とした社会実験駅で、常設駅ではないから」と説明されていたが、営業キロが設定され、旅規86条の横浜市内駅にも追加されている。実際は、Suicaのソフトウェア改修のコストを抑えるためということがいわれていた。PAGEというサイトのJR東日本の小田栄駅開業で注目「戦略的新駅」ってなに?という記事によると、小田栄駅の設置費用はJR東日本川崎市が折半したが、約5.5億円と従来より一桁少ないという。その理由のひとつとして、「運賃計算システムの改修費用を節約するため、運賃計算上は小田栄駅を隣の川崎新町駅と同じ駅という扱いにした」と書かれている。「当面の間」とは2019年10月の消費税増税による運賃改定時までということだろう。石巻あゆみ野駅郡山富田駅も仙台Suicaエリアにあるが、首都圏Suicaエリアと比べて駅数が少なくソフトウェア改修コストは許容できる範囲ということか。
ところで、リリースに記載されていない、あしかがフラワーパーク・富田間の乗車券の運賃はいくらなのか。レスポンスの記事運賃は「隣の駅」と同じ…両毛線新駅「あしかがフラワーパーク」2018年4月1日開業によると

富田〜あしかがフラワーパーク間のみ乗車する場合は、富田〜足利間7.1kmを基準に運賃額を計算。普通運賃(大人)は200円だ。

とある。あしかがフラワーパーク営業キロが設定されない「駅と駅との中間に旅客の乗降を認める乗降場」であれば、旅規71条1項1号を適用して、外方駅までの運賃でよい。小田栄は正式の駅だが、小田栄・川崎新町の運賃を外方の川崎新町・浜川崎間で計算されても、初乗りの140円だから大きな問題ではなかった。しかし、あしかがフラワーパークの場合は0.9キロの乗車で7.1キロ分の運賃が課されることになる。運賃徴収の根拠を旅規できちんと規定する必要がある。
追記(12月19日):基準規程で特定運賃を規定するのではとのコメントがあったので、あらためて本件の旅規と基準規程の条文を掲げておく。

営業キロを定めていない区間の旅客運賃・料金の計算方)
第71条 営業キロを定めていない区間について旅客運賃・料金を計算する場合は、次の各号による。
(1)駅と駅との中間に旅客の乗降を認めるときは、その乗降場の外方にある駅発又は着の営業キロによる。ただし、別に定める場合は、その乗降場の内方にある駅発又は着の営業キロによる。
(後略)

基準規程の条文は、2016年5月10日の記事で紹介した「叩け!マルス」の5月3日記事による。

営業キロを定めていない区間の旅客運賃・料金の計算方の特例)
第110条の2 規則第71条第1項第1号ただし書の規定は、小田栄駅八丁畷以遠(尻手方面)の各駅相互間の旅客運賃・料金を計算する場合に適用する。

この条文にあしかがフラワーパークを追加すると

小田栄駅八丁畷以遠(尻手方面)の各駅相互間及びあしかがフラワーパーク駅と佐野以遠(岩舟方面)の各駅相互間の旅客運賃・料金

となり、これにあしかがフラワーパーク・富田間の特定運賃を加えると、かなり複雑になりそう。
また、小田栄駅は「駅と駅との中間に旅客の乗降を認める乗降場」ではなく、86条の横浜市内駅にも記載されている正式な駅*1であるという不整合は解消しない。

*1:基準規程110条の2でも小田栄駅といっている