旅客営業取扱基準規程対比(1987vs2011)

旅規ポータルで圧倒的なアクセスがあるのは、JR東日本旅客営業取扱基準規程で、訪問者の55%程度を占める。日本鉄道図書が廃業前の2011年に最後に市販した冊子版旅規に基づいている。本日、これと1987年のJR発足時点のもの(中央書院発行新会社版)とを対比した、旅客営業取扱基準規程対比(1987vs2011)を掲載した。
1987年から2011年まで条文数は463から464と1箇条増加したが、中身はかなり変わっている。32箇条が削除され、33箇条が挿入された。削除された条文は、航路や自動車線関連のほか、回数券(急行回数券、均一回数券、特別車両回数券)、新幹線乗車振替証や遺失物回送などの条項。挿入された条文には、乗車整理券、コンパートメント券、ホームライナー料金などのほか、西小倉・小倉聞及び吉塚・博多聞の区間外乗車関連の条項がある。2011年以降の基準規程の改定は公開されていないが、5月10日の記事に書いたように、第110条の2(営業キロを定めていない区間の旅客運賃・料金の計算方の特例)が新設されたとの情報がある。
24年間継続している430箇条のうち、134箇条は一度も改定されなかった。改定があった条文でも、2009年4月の宮島航路の子会社移管時に「乗車船」・「列車等」が「乗車」・「列車」に改定されたような、マイナーなものがかなりある。なお、日本鉄道図書の冊子版旅規には、旅規と基準規程の条文ごとの改正公告・改正達示控が記載されている。小布施由武著「JR旅客営業制度のQ&A」(中央書院)の巻末にも、2007年4月までの改正公告・改正達示控があるが、この両者の履歴は一致しないところがある。
削除された条文のうち、第113条の4(地方交通線内相互発着の大人普通旅客運賃の特定)は旅規に昇格し、第77条の5の第3項として規定された(1996年1月の三島会社運賃改定時)。また2008年3月、第115条の特定都区市内及び東京山手線内を再度通過する場合の単駅指定の規定が旅規第86条・第87条のただし書きに移行した*1。しかし、契約条項として最も重要な運賃・料金関連の規定の多くがまだ基準規程に委ねられている。

*1:第115条は、東京近郊区間相互発着にかかわる特定都区市内等運賃計算の規定に変更になった