阿佐海岸鉄道にDMV

JR北海道が実用化を断念したDMV阿佐海岸鉄道で日の目を見るかもしれない。NHKのサイトにDMV 徳島県が全国初の営業運転の方針という記事をみつけた。おそらくNHKのローカルニュースで報じられたのだと思うが、徳島県や地元紙徳島新聞のサイトには、リリースや記事が掲載されていない。削除されないうちに、全文を記録しておく。

南海トラフの巨大地震への対策として、徳島県は、高知県との間を結ぶ沿岸部の鉄道路線に、線路と道路の両方を走ることができる車両、DMVを導入して運行する方針を決めました。国土交通省によりますと、DMVの営業運転の方針を決めたのは全国で初めてだということです。
DMVは、金属の車輪とゴムのタイヤを備え、鉄道と道路の両方を走ることができます。
徳島県は平成24年、県などが出資する第三セクターが運行する沿岸部の阿佐東線で試験走行するなど、導入を検討してきました。
徳島県は、国土交通省の委員会がDMVの安全性に問題はないとする結論を去年10月に出したことを受け、検討を進めた結果、南海トラフの巨大地震津波で線路が被災した場合でも、道路上を運行できる可能性があり、復旧に有効だと判断し、高知県までを結ぶ阿佐東線の8.5キロの全線に導入して運行する方針を決めました。
県の新年度の当初予算に、線路と道路を乗り入れできる設備やDMVの利用客が乗り降りできる駅のホームなどの設計費として、1300万円余りを盛り込む方針です。
国土交通省によりますと、DMVの導入はこれまで各地で検討されてきましたが、営業運転に使用する方針を決めたのは全国で初めてだということです。
徳島県は今後、国への事業申請に向けて、車両の導入時期などについて検討することにしています。

DMVの安全性に関する国土交通省の委員会の結論は、DMVに関する技術評価委員会中間まとめにある。DMVのみの専用線区による単車運行を前提として、「現行の軌道回路による位置検知に依存しない本運転保安システムを適用することについて、特に問題ない」と 結論付けたもの。この保安システムは、JR北海道が開発した、「車両側の車軸パルス距離積算により自車位置を検知するとともに赤外線通信を位置補正に利用し、無線データ通信による制御を行う」ものだが、「本補正技術に変えて、GPSと慣性センサーを組み合わせた技術を採用すれば、十分な位置検知機能の達成が見込まれ、有用な方法の一つとなり得る」としている。
追記(2月8日):徳島県と同様にDMVの実証実験を行っていた富士市は導入を「一時断念」する。昨年12月8日の静岡新聞の記事DMV「一時断念」 富士市、公共バス整備へ

 富士市は7日までに、改造したマイクロバスで線路と道路の両方を乗り入れられる新交通システムDMVデュアル・モード・ビークル)」の導入を一時断念する方針を固めた。市は代替案として公共バスの整備を進める意向。
 構想から10年を迎えたが、DMVの開発元のJR北海道が管内で相次いだ列車事故の対応を優先して構想の具現化が進まず、当面は困難な情勢となっていると判断したもようだ。関係機関による検討会はここ数年、開かれていなかった。
 DMV構想は2004年、導入に向けて検討を開始。当初案は、JR新富士駅と富士駅の間の工場引き込み線にDMVを走らせ、同駅からは一般道路に移行して主要商店街や市役所を通過し岳南電車ジヤトコ前駅に接続。終点の岳南江尾駅から道路を走ってJR東田子の浦駅につながるルートを想定していた。
 最大約70億円(概算)の初期投資、年間1億7千万円前後の経常負担もネックとされる。