JR北海道は13日、2016年3月開業する北海道新幹線新青森・新函館北斗間の特急料金の上限額を国土交通省に認可申請した。JR北海道リリースには、認可後届け出る特急料金等も記載しているが、JR東日本も同時に東北・北海道新幹線直通列車の特急料金及びグリーン料金を発表した(JR東日本リリース)。
北海道新幹線の特急料金は、次のとおりである。
区間 | 営業キロ | 上限(自由席) | 指定席 | 立席・特定 |
---|---|---|---|---|
木古内・新函館北斗 | 35.5 | 1,990 | 2,510 | 1,310 |
新青森・奥津軽いまべつ | 38.5 | 1,990 | 2,510 | 1,310 |
奥津軽いまべつ・木古内 | 74.8 | 1,990 | 2,510 | 1,490 |
奥津軽いまべつ・新函館北斗 | 110.3 | 3,930 | 3,320 | 2,800 |
新青森・木古内 | 113.3 | 3,930 | 3,320 | 2,800 |
新青森・新函館北斗 | 148.8 | 3,930 | 4,450 | 3,930 |
JR北海道が認可申請した特急料金の上限額は自由席特急料金である。100キロまで1,990円、200キロまで3,930円の2地帯制で申請されている。指定席特急料金は、隣接駅間と新青森・新函館北斗間が申請上限額に座席指定料金520円(通常期*1)を加えた額だが、110キロ台の2区間は自由席の上限額よりも安く設定された。立席・特定特急料金(北海道新幹線の「はやぶさ」、「はやて」は全車指定席)は、新青森・新函館北斗間が申請上限額どおりだが、他の区間は上限額の25-35%引きとなっている。
北海道新幹線の特急料金は、他の新幹線と比べるとかなり高い。50キロまでの隣接駅間の特定特急料金1,310円は、東海道・山陽・東北・上越・北陸の860円、九州*2の850円の1.5倍である。51-100キロの隣接駅間についても、北海道の1,490円に対し、東海道は980円、山陽は970円である。150キロまでの指定席特急料金を比べると、東海道・山陽が3,000円(のぞみ・みずほは3,210円)、東北・上越・北陸が3,110円(はやぶさ・こまちは3,320円、北陸のJR東日本・JR西日本区間2社区間は3,760円〜4,080円。以上いずれも200キロまで)、九州が3,000円に対し、北海道の新青森・新函館北斗間は4,450円で1.1−1.5倍となっている。
青森・函館間の「スーパー白鳥」、「白鳥」の特急料金は、指定席が2,250円、自由席が1,730円である。青函トンネルの速度制限と新青森、新函館北斗での2回の乗継ぎによって、青森・函館間ではほとんど時間短縮にならないのに、特急料金は現行の1.97−2.27倍になる。JR北海道は、この区間にインターネット購入で40%割り引く「早割」を設定するとのことだが、詳細は不明である(毎日新聞記事)。
東北新幹線と北海道新幹線の相互間を利用する場合の特急料金は、東北新幹線と北海道新幹線のそれぞれの特急料金の合算額である。東海道・山陽新幹線と九州新幹線の相互間と同様であるが、指定席特急料金は、全区間通じて1席分の座席指定料金としている。また、七戸十和田と北海道新幹線の各駅相互間及び東北新幹線の各駅と奥津軽いまべつ相互間の指定席特急料金は、それぞれの立席・特定特急料金の合算額に、座席指定料金を加えた金額である。
特急料金は指定席料金が基本で、自由席料金はこれから一定額を減額していた。今回JR北海道が上限運賃として自由席特急料金を認可申請し、自由席特急料金に座席指定料金を加えて指定席特急料金とすることは注目される。速達性の対価である特急料金として自由席料金を基本とすることは、特急券の分割購入問題の是正にも効果がある。上越妙高で自由席特急券を分割すると安くなる例が多いが、新青森分割ではないようだ。
グリーン料金も会社ごとの料金の合算額である。グランクラス料金については、北陸新幹線の2社区間と同様、JR東日本とJR北海道を乗り継ぐ場合はそれぞれの料金が1,300円安くなる。
東京・函館間の特急料金を現行の航空料金と比べると次のとおり。
新幹線(東京・新函館北斗) | 航空機(羽田・函館) | ||
---|---|---|---|
グランクラス | 38,280 | プレミアムクラス(ANA) | 42,490 |
グリーン車 | 30,060 | 普通運賃(JAL・ANA) | 35,490 |
普通車指定席 | 22,690 | 普通運賃(ADO) | 27,390 |
特割(最低額) | 17,990 | ||
特割21-28(最低額) | 14,990 |
北陸新幹線金沢延伸開業のように、航空会社が旅客を奪われることはなさそうだ。JRは種々のトクトクきっぷで対抗してゆくことになるのだろう。北関東・東北からの観光客に期待したいところだろうが、地元が要望している宇都宮駅の「はやぶさ」停車は実現するのだろうか。
追記(10月21日):青森・函館間の特急料金の比較をしたが、コメントにあったように地方交通線運賃から幹線運賃に変わるため、運賃と料金を併せて比較すべきだった。
現行 | 新幹線 | |
---|---|---|
営業キロ | 160.4 | 170.6 |
運賃計算キロ | 176.1 | 170.6 |
うちJR北海道 | 141.6 | 166.7 |
運賃 | 3,240 | 3,240 |
運賃+料金(指) | 5,490 | 6,050 |
運賃+料金(自) | 4,970 | 5,530 |
JR北海道のリリースでは、新青森・新函館北斗間148.8キロの運賃2,810円だけを記載しているが、青森・函館間では、これに青森・新青森間3.9キロと新函館北斗・函館間17.9キロが加算され、営業キロが増加する。地方交通線から幹線への変更で運賃計算キロは低下するが、161-180キロの同じキロ帯で運賃額は変わらない(JR北海道の加算額も、同一キロ帯でこれまでどおり220円)。