JR北海道廃線候補リスト

北海道新聞の記事JR廃線拡大の可能性 第三者委、7路線8区間を例示によると、JR北海道再生推進会議*1は、6月26日にまとめた提言書で、路線廃止を含めた「聖域ない検討」を求め、「利用が少ない区間」として輸送密度が500人/キロ以下の次の区間を例示したという。

路線区間営業キロ輸送密度
1札沼線北海道医療大学新十津川47.681
2石勝線新夕張−夕張16.1117
3留萌線深川−増毛66.8142
4根室線滝川−新得136.3277
5根室線釧路−根室135.4298
6日高線苫小牧−様似146.5405
7釧網線東釧路−網走166.2436
8宗谷線名寄−稚内183.2466
JR北海道は、閑散線区のレールを維持するためにDMVを開発し、夕張市は石勝線夕張支線への導入を期待していたが、記事では言及されていない。

 2013年2月8日の記事に書いたように、国土交通省DMVの導入・普及を図ることを目的として、検討会を設置した。国土交通省のサイトには、同年7月6日の第3回検討会までの議事要旨と配布資料が掲載されている。導入に積極的な意見が多く、平成25(2013)年度末の「最終とりまとめ」までに対応の方向性を目指すとされていた。しかし、その後検討会及び最終とりまとめについての記載はない。

 潮目が変わったのは、特急列車の発煙・出火事故、貨物列車の脱線事故、運転士によるATSの破壊などが多発し、JR北海道の企業体質が問題になった2013年の秋である。DMVの開発はこれらの事故や不祥事とは関係ないが、鉄道の安全対策を優先し、実用化検討は明らかに後退した。江差線木古内江差間は導入のチャンスだったが、2014年5月の廃止に間に合わなかった。

 2014年10月、国土交通省有識者による技術評価委員会を設置、JR北海道がこれまで行ってきた技術開発の状況について、技術開発の現状と課題及び走行試験の概要等を検討している。おりしも6月26日、技術評価委員会が開催されたが、その報道発表資料は、概要として

(1)JR北海道において開発された運転保安システムについて、これまでの開発経過の説明に基づき、運転保安システムの安全性ついて、意見交換が行われた。

(2)次回も引き続き、運転保安システムの安全性等について評価を行うこととした。

と通り一遍の記載をするだけである。時計の針を2年前に戻した議論を繰り返しているようだ。このままDMVが日の目を見ずに、7路線8区間が廃止されてしまう事態は見たくない。

*1:一連の不祥事に対する国土交通省の改善命令を受けて設置された第三者諮問機関で、コンプライアンスや企業の組織経営の面からも外部の視点で助言を行うとされている