JR東日本BRT約款

旅規ポータルのリンク集JR東日本一般乗合旅客自動車運送事業取扱規則を追加した。8月22日の記事に対するコメントで情報提供があった、BRTの約款である。
ざっと眺めただけだが、国土交通省が策定した一般乗合旅客自動車運送事業標準運送約款に準拠している。BRT約款が採用していないのは、国鉄バスが旅規に規定されていた時代のなつかしい条項である。たとえば標準約款第12条の定期回数乗車券は、かつて旅規にあったが、JR化後の1988年10月1日に廃止された。そのほか、標準約款の第44条「有料手回品」や第3章「荷物運送」。現在荷物運送の取り扱いをしているバス事業者があるのだろうか。
大きな違いは、標準約款の「第5章 連絡運輸・共通乗車」がBRT約款では「第4章 鉄道線を乗り継ぐ場合の取扱い」となっていること。BRTが連絡運輸しているのはJRの鉄道線だけ(同じ会社だから連絡運輸とはいえないか)で、

第47条 自動車線と鉄道線を乗り継ぐ旅客の運送及びこれに附帯する取扱等については、別に定める場合を除いて、自動車線と鉄道線を通じた全区間について、旅客規則を適用します。ただし、自動車線の運賃は第23条の定めによるものとします。

と規定されている。この23条に定める運賃とは

(運賃)
第23条 当社が旅客から収受する運賃は、契約の成立した時において国土交通大臣又は地方運輸局長へ届け出て実施しているものによります。
2 前項の運賃は、関係の駅等に掲示します。

というもので、これは標準約款も同じ。バスの運送約款には、もっとも重要な運賃が定められていないのだ。

追記(9月10日):コメントで指摘を受けたように、標準約款の定期回数乗車券と国鉄バスの回数定期乗車券を混同していた。前者は期間中1日2回使用できる回数乗車券であり、後者は旅規第2章第3節に規定されていた定期乗車券の一種である。旅規は回数定期乗車券を

(自動車線通勤回数定期乗車券の発売)
第38条の3 旅客が別に定める自動車線区間を、常時、区間及び経路を同じくして乗車する場合第35条第3項に規定する定期乗車券購求申込書に必要事項を記入して提出したときは、1箇月(暦月)の自動車線通勤回数定期乗車券を発売する。

と規定していた*1が、第202条の様式を見ると54券片の回数券である。回数定期乗車券の運賃や効力の規定はなく、発売の趣旨がよくわからなかった。
基準規程を調べてみると

(自動車線回数定期乗車券の発売方)
第61条の2 規則第38条の3に規定する自動車線通勤回数定期乗車券及び規則第38条の4に規定する自動車線通学回数定期乗車券は、自動車線共通乗車規則(昭和33年3月日本国有鉄道公示第78号)に定める共通乗車区間について、旅客が希望する場合に発売するものとする。

という条項があった。Wikipedia定期乗車券に「定期回数券」という項目があり、

1か月の定期券を約50枚の回数券方式にした形態の定期券である。降車時には氏名を記載した表紙を乗務員に提示の上1枚を運賃箱に投入する方式である。京阪バス(2010年5月31日までで券種廃止)の一部区間近江鉄道で発行されている。従来は廃止前の京阪宇治交通の一部区間、鉄道では廃止前の屋島登山鉄道や、比叡山鉄道でも発行されていた。
このほか、複数のバス会社が少数の便を運行しているが共通乗車の扱いがなされていない区間で、学生の利便のため通学定期券に相当する氏名記載の表紙を持つ定期回数券のみ、共通乗車用に発行した事例がある。(例 古川駅-吉岡 (大和町)間の国道4号線一般道を走っていた国鉄バス(当時)古川線の一部・宮城交通(当時)相互での発行)

と書かれている。「共通乗車の扱いがなされていない区間」というのは基準規程の規定と異なり、「定期回数券」も「回数定期券」とすべきだろう。
菅沼天虎の紙屑談義のJRバス関東 定期回数乗車券に「草津温泉長野原草津口」の定期回数乗車券の画像が掲載されている。表面には「定期回数乗車券」とあるが、裏面に54回の乗車回数をチェックする欄が印刷されており、国鉄バス時代の「回数定期乗車券」である。標準約款の「1日2回使用できる定期回数乗車券」を探したのだが、ウェブには見当たらない。JRバス関東の約款も「定期回数乗車券」である。やはり両者は同じものなのだろうか。

*1:第38条の4で自動車線通学回数定期乗車券の発売を規定