JR東日本「羽田空港アクセス線」構想

各紙が報道しているJR東日本羽田空港アクセス線構想は、8月19日開催された国土交通省第4回交通政策審議会陸上交通分科会鉄道部会 東京圏における今後の都市鉄道のあり方に関する小委員会におけるヒアリング内容のようだ。国土交通省のサイトによると、この小委員会は第1回が6月5日開催され、第2回以降、空港アクセス線について関係者からのヒアリングを精力的に行っている。
6月30日

7月22日

  • 今後の航空需要の見通し等について(航空局)
  • 都心直結線について(鉄道局)

8月19日

「本会議は忌憚ない意見交換を行うため、非公開とします」ということで、配布資料や議事内容は掲載されていない。サイト内検索で、東京圏における今後の都市鉄道のあり方についての主な検討の視点(案)という資料がみつかった。空港アクセス鉄道は、「国際競争力強化への対応」として位置づけられている。
各紙の報道によれば、東京駅、新宿駅新木場駅からの3ルートのうち、新木場ルートは空港の手前に暫定駅を設置、空港とバス連絡し、オリンピックの前の先行開業も検討するという。興味ぶかいのは時事通信記事の次の箇所。

運賃は未定だが、東京駅まで620円、新宿駅まで840円などと仮定した場合、新駅の1日の利用客は7万8000人と試算している。

休止中の東海道貨物線を経由する東京・羽田空港間の営業キロは、現行の東京モノレール経由の東京・浜松町・羽田空港第2ビル間の営業キロ20.9キロより短く、運賃キロ帯は16-20キロだろう。電車特定区間運賃の310円の2倍であり、同額の空港加算運賃を課す試算になっている。南千歳・新千歳空港間、日根野関西空港間の加算運賃も普通運賃と同額であり、これにならったものか。「東京貨物ターミナルまでは線路があるのだから、全区間の運賃を2倍にするというのは?」という異論も出ようが、現行のJRと東京モノレール乗継運賃(650円)より安く、妥当な設定だろう。子会社の東京モノレールにとっては脅威の運賃設定だが、JR東日本としては途中駅までの交通需要がある東京モノレールとのすみわけを図るつもりだろう。なおNHKニュースによると東京モノレールも浜松町から東京への延伸を検討しているとのことである。これも、昨日の国土交通省ヒアリングで明らかにされたものか。
新宿・羽田空港間は21-25キロ帯とすると、電車特定区間の運賃は390円である。350円加算されているが、空港加算運賃に加え、東京臨海高速鉄道区間(大崎・品川シーサイド間)を第2種事業者として運行する線路使用料が付加される。品川から京浜急行に乗り継ぐ現行運賃610円と比べると、230円の値上げとなる。しかし、乗換時間を含め46分が23分に半減するのだからこれも妥当だろう。リムジンバスの約35〜75分、1,230円と比べるとかなり安い。