阪急河原町駅の改称

駅名改称の研究で駅名に市名を冠し「市名+地名」駅とする最近の傾向を取り上げた。そのなかで、阪急が梅田、三宮、河原町駅を大阪梅田、神戸三宮、京都河原町に改称する計画を紹介した。その河原町駅について、地元から「四条河原町」を推す意見があり、平行線をたどっているという京都新聞4月6日付記事。全文を引用する。

駅改名へ見えぬ終着点 阪急河原町駅、関係者ら平行線
 阪急電鉄河原町駅京都市下京区)の駅名変更をめぐり、関係者の思いが平行線をたどっている。阪急側は観光客に分かりやすい「京都河原町」に改めたい意向を地元に示しているが、四条繁栄会商店街振興組合は、京都の中心商業地で愛着もある「四条河原町」がふさわしいと主張。新駅名の終着点は見えてこない。
 河原町駅は、1963年の開業時からこの名称。京都線の終点として国内外の観光客や市民が利用しており、乗降客数は平日で1日平均約6万5千人。京都府内では烏丸駅に次いで2番目に多い。
 阪急は京都線長岡天神大山崎駅間に2013年度下期に西山天王山駅を開業する予定で、「開業に合わせた駅名変更が、タイミングとしては一つの候補」(広報部)との考えだ。大宮駅は四条大宮駅に、烏丸駅四条烏丸駅に変更することも検討している。
 阪急は河原町の駅名変更に関して「地元にいろいろなご意見があるのは承知している」(同)とした上で、「駅がどこの都市にあるのか、海外の方を含め利用客の立場でロケーションがより分かりやすい駅名にする方向で検討している」(同)と説明する。
 これに対し、四条通沿いの商店主らでつくる四条繁栄会商店街振興組合は3月の定例理事会において、地元の総意として「四条河原町」を推すことを決議した。5日に開いた4月定例理事会では、阪急に文書で要望するとともに、市民から意見を募ることも決めた。
 同組合の堀部素弘理事長は、京都河原町駅について「京都駅と紛らわしく逆に混乱を招く」と懸念を示し、「四条大宮駅四条烏丸駅に習って『四条河原町』に変更するのが自然。京都の繁華街の代名詞でもあり、市民にとっても愛着やなじみが深い」と訴える。
 一方、近隣商店街では意見が拮抗(きっこう)しており、ある役員は「双方ともに一理あり難しい問題」と指摘。その上で「駅名も大事だが、交通システムの向上など利便性を図る方が利用者にはメリットが大きいのでは」と話す。
 京都市の堀池雅彦交通政策監は「最終的には鉄道事業者が決めるのが原則。ただ、駅は不特定多数の人が利用する公共性の高い場所だけに地元の思いも十分に受け止め、話し合いで解決してほしい」としている。

太字で示した阪急の説明が近年市名駅が増加している理由だが、大宮駅と烏丸駅四条大宮駅四条烏丸駅に改称するなら地元の「四条河原町」案は頷ける。
興味があるのは、四条大宮四条烏丸と旧京都市電の停留所名が復活することである*1京都市の中心部は、街路が碁盤の目状になっており、東西・南北の街路名を組み合わせて、直行する場所を示している。旧京都市電の停留所名は、東西の四条通には西大路四条、四条大宮、四条堀川、四条西洞院四条烏丸四条河原町と停留所が並んでいた。平行する七条通西大路七条、七条大宮、四条堀川、七条西洞院、七条烏丸、七条河原町に対応している。
京都市営地下鉄でこの命名法を採用した駅は、西大路御池烏丸御池しかない。烏丸線東西線との接続駅烏丸御池を除いて東西通りの名称を駅名としている。平行する路線がなく、区別する必要がないためである。ところが、2008年京阪が四条を祇園四条、五条を清水五条、丸太町を神宮丸太町に改称した。約1.5キロ西を平行している地下鉄烏丸線の同名駅と区別するための改称だろう。
阪急の1キロ弱北を平行する地下鉄東西線の大宮と烏丸の対応駅は二条城前と烏丸御池と別の駅名であり、四条大宮四条烏丸に改称する必要はないのだが。
追記(4月10日):京都新聞4月9日付記事によると、阪急は河原町駅の改称を撤回したそうだ。

*1:阪急大宮駅に隣接する京福嵐電)の駅は四条大宮