続・初期グリーン料金制度の矛盾

昨日紹介した読売新聞の記事に気になる箇所があった。

そこでこんな自衛手段も考え出されてきた。長野から上野までの旅行(逆も同じ)。大宮で途中下車して切符を買いかえると、運賃九十円、急行料金百円、グリーン料金六百円、計七百九十円も安くなる。四百キロ、六百キロなど料金が高くなるキロ数の境目ではすべて通用する。ささやかな”抵抗”。

一瞬、急行券やグリーン券の分割購入?と思ったが、単に大宮で普通列車の普通席に乗り換えただけのよう*1
大宮で切符を買い換えて運賃が90円安くなるというのは間違っている。長野・東京都区内間は220.8キロ970円。長野・大宮間が190.5キロ800円で、大宮・上野間26.7キロ120円だから、計920円で、節約額は50円のはず。長野から南浦和まで乗車券を買い(198.3キロ800円)、上野まで乗越せば(19.1キロ80円)計880円で90円安くなるので、この間違いだろう。
当時は、逆ルート(上野→長野)も南浦和までの乗車券の乗越でよかったらしい。1970年10月の大改定の前で、旅規の乗車変更条項が「乗越、方向変更及び経路変更、種類変更、指定券変更」の時代。乗越のとき差額精算となるケースを定めた第250条第2項第1号ロ

(イ)電車特定区間内にある駅相互発着の乗車券で、同区間内の駅に乗越をするとき。
(ロ)第189条に規定する地図式の乗車券(発駅又は着駅が、電車特定区間内にあるものに限る。)で乗越をするとき。ただし、原乗車券の着駅が東京都区内又は大阪市内の駅である場合で、乗越着駅までの鉄道区間のキロ程が東京駅又は大阪駅から200キロメートルをこえるときを除く。
(ハ)原乗車券の発駅から乗越着駅までの鉄道区間のキロ程が200キロメートル以内のときで、原乗車券の発駅又は着駅若しくは乗越着駅が東京電車環状線内の駅であるとき。
(二)東名高速線内着の乗車券で、同線内の駅に乗越をするとき。

のいずれにも該当しないようだ。気になるのは(ロ)で、第189条にはそのような規定はないが、当時電車特定区間内相互発着の乗車券は地図式のものしか発売されなかったのだろうか。この条項が第249条(区間変更)に移り、「片道乗車の区間のキロ程が40キロメートル以内*2の普通乗車券で、区間変更の取扱いをするとき」に改まったのは、1975年1月1日施行の改定である。

*1:宮脇俊三氏も『時刻表2万キロ』の乗りつぶし旅行で、急行・グリーン料金節約のため、1977年5月8日深夜(1:40)宇野から乗車した「鷲羽1号」を早朝(4:49)三宮で国電に乗り換えた

*2:その後、50キロ(76/11/06)、100キロ(80/04/20)と拡大