2024年春の運賃改定

2024年も運賃値上げが相次ぐ。次の各社は上限運賃変更認可申請を行った。

事業者 路線 実施時期 改定率
(普通・通勤・通学)
リリース
芝山鉄道   2024/03/16 10.0% 10.0% 0.0% 2023/12/13
ディズニーリゾートライン   2024/03/16 14.6% 14.7% 14.4% 2024/02/26
東京モノレール   2024/03/16 11.5% 16.1% 0.0% 2023/06/16
伊豆箱根鉄道 大雄山線 2024/03/16 10.3% 24.0% 10.1% 2023/12/25
福井鉄道   2024/03/16 17.6% 15.0% 14.8% 2023/11/27
えちぜん鉄道   2024/03/16 10.3% 10.5% 5.7% 2023/12/07
名古屋鉄道   2024/03/16 10.5% 11.6% 0.0% 2023/09/01
流鉄   2024/04/01 9.7% 10.0% 10.1% 2023/09/07
黒部峡谷鉄道   2024/04/01 25.2% 25.6%   2023/12/11
遠州鉄道   2024/04/01 9.7% 17.6% 5.7% 2023/10/31
豊橋鉄道 渥美線 2024/03/16 12.9% 12.7% 12.1% 2023/09/01
市内線 11.1% 10.2% 10.8%
水間鉄道(申請中)   2024/04/01 11.5% 17.0% 22.3% 2024/02/09

鉄道駅バリアフリー料金加算は2社。

事業者 対象エリア 実施時期 算額
(普通・通勤(1,3,6ケ月))
リリース
京成電鉄 全線(除く成田空港線 2024/03/16 10 600 1,710 3,240 2023/09/15
JR東海 名古屋近郊*1東海道新幹線*2豊橋岐阜羽島 2024/04/01 10 300 900 1,800 2022/11/17

京成と名鉄を最後に大手私鉄14社はすべて運賃改定またはバリアフリー料金の加算を実施する。逆にいすみ鉄道は通学定期を大幅に値下げする(リリース)。

*1:東海道本線豊橋~大垣、中央本線多治見~名古屋、関西本線名古屋~四日市武豊線

*2:東京~品川(フレックス定期は東京~新横浜)、京都~新大阪は2023年実施済

南海と泉北高速が経営統合

南海電鉄は、100%子会社のる泉北高速鉄道社との経営統合に基本合意したと発表した(リリース)。2025 年度早期の経営統合に向けて検討を進めるとのこと。京成電鉄新京成電鉄との合併(2025年4月1日実施予定)に続く100%子会社との経営統合である。

リリースは、統合後の運賃について「初乗り運賃の二度払い解消等、地域からのこれまでの声に応えることができるよう検討を進めてまいります。」としている。例に挙げている南海難波・泉北泉ケ丘間の運賃は、通勤・通学定期運賃は値下げしているが、普通運賃は現行の490円のまま。乗継割引運賃が適用され、難波・中百舌鳥間350円*1、中百舌鳥・泉ケ丘間240円の双方の運賃から50円ずつ計100円割引いている。南海の同一キロ帯運賃も同額の490円で、難波・泉ケ丘間は、南海の運賃体系に統一しても運賃は変わらない。しかし他の区間は、下表のように微妙に異なり、旅客にとって損得が出る。

難波から キロ 乗継運賃 南海運賃
深井 17.1 450 420
泉ヶ丘 21.2 490 490
光明池 25.5 550 540
和泉中央 27.7 590*2 610

なお、上場鉄道事業者の100%子会社の鉄道事業者は、他に次の各社がある。

千葉ニュータウン鉄道は第3種事業者。箱根登山鉄道は、小田急の100%子会社小田急箱根HDが100%所有する孫会社。また非上場の岡山電気軌道和歌山電鐵の株式を100%所有している。

*1:20円減額の特定運賃

*2:加算運賃20円を含む

京成が新京成を合併

京成電鉄は、2025 年4月1日を合併効力発生日として、100%子会社の新京成電鉄を吸収合併すると発表した(リリース)。

新京成電鉄東京証券取引所1部上場だったが、2022年4月の市場区分再編の際スタンダード市場に移行し、同年9月1日に京成電鉄が全株式を取得、上場廃止になっていた。

千葉日報10月31日記事

京成電鉄市川市)は31日、新京成電鉄鎌ケ谷市)を2025年4月に吸収合併すると発表した。同日開催の取締役会で決議した。現在の路線と駅、従業員の雇用は維持する方針。「新京成線」の路線名を存続するかは今後検討する。新京成の運賃については京成線に組み込まず、現在の運賃体系を維持する方向で調整している。

乗り物ニュースも「新京成線の運賃については京成線に組み込むのではなく、現在の運賃を引き継ぐ方向で国土交通省と協議中とのことです。」と報じている。

新京成線の運賃が別建てになると、京成は本線系統*1千原線成田空港線と4種類の運賃体系をもつことになる。新京成は10月1日運賃を値上げしたが、京成の本線系統の運賃よりも安い。

*1:東成田線押上線千葉線、金町線を含む

鉄道事業者の運賃比較更新

8月26日の宇都宮ライトレール開業及び10月1日の運賃改定*1を反映して、鉄道事業者の運賃比較別表を2023年10月版として更新した。鉄道事業者の運賃比較は、運賃ランキング表を更新したほか、「コスト構造と価格政策」の項を加筆、京急の運賃改定についてJR対抗の価格設定から輸送人員増加策に転じたことを記載した(1月16日記事参照)。宇都宮ライトレールは、得点順53位、勝率順55位と上位にランクした。

2024年春には名古屋鉄道、流鉄、芝山鉄道東京モノレール伊豆箱根鉄道大雄山線)、肥薩おれんじ鉄道が運賃改定を予定している。またJR東海京成電鉄バリアフリー料金を加算する。

追記(10月10日):読者からメールで指摘を受け、4月1日の京福電鉄の運賃改定(220円→250円)を反映し運賃ランキング表を更新した。

 

 

 

*1:運賃を改定したのは次の12事業者・路線
京王、京急、南海、新京成北越急行北陸鉄道岳南電車、泉北高速、水島臨海、伊予鉄道(鉄道、松山市内線)、熊本電鉄

JR東日本旅規改訂履歴更新

JR東日本旅規改訂履歴(条項順)・(日付順)を更新した。10月1日のJR東日本・四国・九州の特急料金・特別車両料金・座席指定料金の改定のほか、未反映だった8月28日の日田彦山線BRT運行開始に伴う旅規改定(8月9日の記事参照)を追加した。

各社は10月1日から、鉄道乗車自体を目的とした観光列車の特急料金・特別車両料金・指定席料金を値上げした。JR東日本のってたのしい列車などの指定席料金を840円とし、客車を使用する普通列車SLばんえつ物語)のグリーン料金を新設した。JR四国は「ものがたり列車」のグリーン料金を値上げし、JR九州D&S列車或る列車、36ぷらす3を除く)の座席指定特急料金を500円値上げした。

旅規とは関係ないが、値上げはジャパン・レール・パスにも及んだ(JR西日本リリース)。のぞみ・みずほの乗車ができないと不評だったのに対し、「【ジャパン・レール・パス専用】のぞみ・みずほ利用券」を購入することにより、乗車を可能にした。

 

 

2023年秋の運賃改定

2023年秋以降の運賃改定。既報の京急、南海、北陸鉄道に加え、次の各社が上限運賃変更認可申請を行った。高松琴平電鉄は、JR四国にあわせて5月20日に運賃改定を実施していた。

事業者 実施時期 改定率(普通・通勤・通学) リリース(申請・認可)
高松琴平電気鉄道 2023/05/20 14.4% 13.6%  7.2% 2023/02/27 2023/03/30
南海電気鉄道 2023/10/01  9.0% 12.3%  4.5% 2022/10/28 2023/02/03
京浜急行電鉄 2023/10/01 10.7% 11.9% - 2023/01/13 2023/04/21
北陸鉄道 2023/10/01 11.3% 11.0% 11.0% 2023/01/31 リリースなし*1
京王電鉄 2023/10/01 13.8% 14.1% - 2023/03/24 2023/06/23
新京成電鉄 2023/10/01 11.7% 13.5% 11.0% 2023/02/17 2023/06/02
岳南電車 2023/10/01 11.7% 13.5% 11.0%   2023/06/20
水島臨海鉄道 2023/10/01 10.0% 12.4% 9.2% 2023/04/10 2023/05/31
伊予鉄道 2023/10/01 5.2% 4.9% 4.9% 2023/05/31  
北越急行 2023/10/01 20% 20% 10% 2023/07/04  

京王は、大手私鉄の中でも最も低廉な運賃を維持してきた(鉄道事業者の運賃比較の運賃ランキングで得点順6位、勝率順3位)。相模原線の加算運賃は、今回の運賃改定に合わせ廃止する。京急は、1月16日の記事に書いたように、40キロ超の運賃を値下げする。また、品川・横浜間等の特定運賃の割引額を拡大する。南海も難波・中百舌鳥間に特定運賃を新設する。

認可された上限運賃の範囲で値上げするのが、次の2社局。熊本市は6月1日に実施していた。

事業者 実施時期 改定率(普通・通勤・通学) リリース
熊本市 2023/06/01 5.9% 5.9% 5.9% 2023/06/01
泉北高速鉄道 2023/10/01 4.37% 3.39% - 2023/01/19

 京成・京急・東京都は、羽田空港・成田空港間の空港連絡特殊割引を廃止する。

事業者 種別 区間 実施時期 リリース
京成・京急・東京都 特定運賃廃止 羽田空港~成田空港 2023/10/10 2023/05/10

2022年小田急が小児IC運賃を一律50円としたが、値上げにあわせて小児運賃を値下げする事業者がめだつ。京急は小児IC運賃を一律75円とする(2023/05/10リリース)。泉北高速の小児IC運賃50円(2023/07/03リリース)。京王は、小児運賃の半額をポイント還元する(2023/07/03リリース)。

高松琴平電鉄熊本市の運賃改定を反映して、鉄道事業者の運賃比較を2023年6月版として更新した。高松琴平電鉄の運賃ランキングは、得点順が74位から117位に、勝率順が78位から113位に後退した。

 

鉄道事業者の運賃比較など更新

5月20日までの運賃改定を反映して、鉄道事業者の運賃比較別表を更新した。2023年5月版として運賃ランキング表を更新し、脚注の加算運賃に東急・相鉄の新横浜線を追加、特定割引運賃から新京成を削除した。

運賃を改定(鉄道駅バリアフリー料金の加算を含む)したのは次の25事業者・路線(*はバリアフリー料金の加算)。大幅な運賃値上げを行ったJR四国近鉄が大きく順位を下げた。
JR東日本電車特定区間*、山手線*)、JR西日本電車特定区間*、大阪環状線*)、JR四国東武* 、西武*、小田急*、東急(鉄道線、世田谷線)、東京メトロ *、相鉄*、近鉄、京阪*、阪急*、阪神*、西鉄*、伊豆箱根鉄道駿豆線)、伊豆急行、静岡鉄道、京福電鉄、あいの風とやま鉄道 、大阪メトロ*、神戸電鉄*、山陽電気鉄道*

JR四国については、JRの運賃計算ルールは複雑すぎると別表をFare Table 2023(運賃表2023)と改題し更新した。5月24日の記事に書いたように、地方交通線の特定運賃が廃止され、運賃体系としてはスッキリした。また、特急料金の表の宇野線岡山・茶屋町間、本四備讃線及び予讃線(50キロ以内)の特定特急料金を削除、JR四国内の特定特急料金を変更した*1

 

*1:あわせてJR四国普通急行特定料金も廃止